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高導電性CNT樹脂複合材の開発

CNT樹脂複合材の内部および表面導電性を向上させる成形技術

 熱伝導性CNT樹脂コンポジット成形品.jpg

 ゴムや樹脂などの高分子材料にCNTを混合し、絶縁性の高い高分子材料に導電性を持たせることができ、 研究開発が盛んになっています。しかし、期待されるほどの導電性効果がなかなか得られないケースが多く、CNTの分散が 悪いとして片付けられてしまう傾向が強い。

 当社の研究開発の過程で、CNTの分散性よりも重要なキーが別にあることを見出しました。当社名づけて 「表面張力効果(ST効果)」と呼びます。つまり、CNT混合樹脂を融解したときの樹脂液体の持つ表面張力をうまく 制御する場合とそうしない場合とは、得られたCNT樹脂複合材料の導電性(特に成形された複合部材の表面導電性)が数10倍~数100倍も異なる効果です。このST効果は、 ある程度以上のCNT添加率であれば、初期分散性や分散方法よりも支配的になってきます。高分散が期待されている射出成 形機や押し出し機を用いても、より廉価な混錬機を用いても、あるいは手作りの単純な融解坩堝を用いても、 同じ効果を 確認することができます。現状の御社のCNTの分散性や導電性に不満を感じている方はご相談ください。成形プロセスの改善法、あるいは後処理法をご提案します。

 ST効果のもう一つの特徴は、可逆変換性を有することです。つまり、導電性の悪いCNT複合材料を再度 融解し、ST効果を制御すると、再び導電性の良いCNT複合材料に変身できることと、逆に、初期導電性の良いものをST効果 の制御で再度悪くすることも可能です。たとえば、初期導電性が良いとされているハイペリオン製CNT複合ポリカーボネー トマスターバッチ(CNT15%)を用いて製品加工するために再度融解したときに、このST効果がうまく働かせないと、マス ターバッチの初期導電性より逆に10倍~100倍も悪くなることがあります。

 このST効果は、次のメカニズムで説明できます。


 液体の界面や表面に表面張力が存在し、液体全体の表面張力が最小になるように形を形成していく原理が 働いています。空気中で水滴が自然に丸くなるのは、この原理の働いた結果です。

 融解中の樹脂液体にCNTを混ぜた場合、液体とCNTとの接する界面に表面張力が発生します。材料全体の表 面張力を減らそうとする液体にとっては、CNT同士が凝集した状態(図中のA状態)では全表面積および表面張力が最も小さい ため、表面張力がCNTの凝集を促進することになり、CNTの凝集問題がよく取りざたされてきた原因です。この場合、CNT凝集 体内部では導電性ネットワークが豊富ですが、凝集体同士は樹脂に隔離されているため、全体としての導電性が低くなってし まいます。

 一方、世間でよく採用されているように、押し出し機などのようなせん断力を外部的力に加え、分散性を 高めようとする考え方が主流になっています。仮に理想的に実現できたとすると、図中のC状態になり、液体にとっては表面 張力が最大になってしまいます。この場合、CNT同士の接触が原理的になくなりますので、「最高の分散」を実現したものの、 密着性の高い導電性ネットワークが存在しなくなり、導電性が逆に悪くなります。

 当社が主張しているのは、図のB状態で、完全凝集と完全分散との間の最適表面張力状態です。当社は、融 解時の表面張力の制御に工夫を凝らし、材料全体に密着性の高い導電ネットワークが多く形成される状態を作り出します。つ まりST効果をうまく利用する工夫です。
この効果の良し悪しだけで、結果として、導電性が数10-数100倍も異なることになります。
特に当社の長尺CNTを用いると、導電ネットワークがより形成されやすく、ST効果がより顕著に現れます。

■CNT- Polymer Composite(CNT樹脂複合材料)

当社は現在、CNT樹脂複合材料の大量生産を行っておりませんが、 ST効果を利用したCNT樹脂複合材料の試作、検証実験、共同研究、共同開発、技術コンサルティングを承っております。